大学サバイバル戦線開始
2016/05/31
現在、「大学改革」の津波が押し寄せています。
その津波はさらに大きなうねりとなって、
国公立大学から私立大学へと、
日本中の大学を襲っています…。
その震源は「遠山プラン」。
正式名称は「大学の構造改革の方針」です。
遠山敦子文部科学大臣が平成十三年六月に、
“活力に富み、国際競争力のある、国公私立大学づくりの一環として”
打ち出した計画です。
詳しくは以下の三つからなっています。
一、国公立大学の再編・統合を進める。(⇒大学統合・再編)
二、国公立大学に民間発想の経営手法を導入する。(⇒独立行政法人化、産学提携)
三、大学に第三者評価による競争原理を導入する。(⇒大学評価、トップ30)
要するに大学にも、
「競争原理」と「市場原理」を導入するということです。
会社と同じで競争に負ければ、
大学が廃校されたり、
どこかと統合されたりする訳です。
大学関係者は今まで公務員だったため、
のんびりしていましたが、
このような流れになってくると、
安定した職が無くなる可能性も出てくるため、
少しずつ動き出しました。
これにより、
大学間の生き残りを賭けた、
熾烈な“戦い”の火ぶたは切って落とされました。
ここでは、
「どこの大学が世界と勝負ができる大学なのか?」
「どういった大学が淘汰されない大学なのか?」
そのような観点で、
編入する時などの大学を選ぶ判断基準の一つとして、
偏差値とは異なる角度で参考にして下されば、
幸いです。
まず、
文部科学省(旧・文部省)が戦後、
全国にある九十九の国立大学を大学設置順に5グループに序列化しました。
これは偏差値とかの入試レベルとは異なり、
歴史的な格付けになります。
旧帝大グループが最も格付けが高く、
そこから順に低くなります。
旧帝大:北海道、東北、東京、名古屋、京都、大阪、九州、筑波(※)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
旧6官立大:千葉、新潟、金沢、岡山、長崎、熊本
旧官立大:旧6官立大、東京工業、一橋、神戸
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
新7大:弘前、群馬、東京医科歯科、信州、鳥取、徳島、鹿児島
新8大:新7大、広島
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
部制大:北海道教育、旭川、岩手、秋田、山形、茨城、宇都宮、埼玉、東京学芸、
東京農工、横浜国立、長岡技術科学、上越教育、富山、富山医科歯科、福井医科、
山梨医科、岐阜、静岡、浜松医科、愛知教育、名古屋工業、豊橋技術科学、三重、
滋賀医科、大阪教育、兵庫教育、島根医科、山口、鳴門教育、香川、香川医科、
愛媛、高知医科、佐賀、佐賀医科、大分医科、宮崎、宮崎医科、琉球、
北陸先端科学技術大学院、奈良先端科学技術大学院
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その他大:室蘭工業、小樽商科、帯広畜産、北見工業、宮城教育、福島、
図書館情報、東京外国語、東京芸術、東京商船、東京水産、お茶の水女子、
電気通信、福井、山梨、滋賀、京都教育、京都工芸繊維、大阪外国語、神戸商船、
奈良教育、奈良女子、和歌山、島根、高知、福岡教育、九州工業、九州芸術工科、
大分、鹿屋体育、総合研究大学院
この中には、
すでに淘汰されて合併された大学もいくつかありますよね。
ちなみに旧官立大(旧6官立大)と新8大(新7大)は、
医科大学(付属病院)の設立年次で区分けしてあります。
国立大学の教授はれっきとした国家公務員だったので、
給料の額は国の給与制度である給与法に基づいて、
決定されていました。
給与法は職員の職務の複雑さ、
困難および責任の度合いに基づく「棒給」と、
それを補完する「諸手当」からなり、
教育職棒給表、学長は指定職棒表で明確に分けられています。
『人事院規則9-42別表』によれば、
大学長の中で最も多くの給料をもらっているのは、
東京大学と京都大学で12号棒給、
次いで北海道大学、東北大学、筑波大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学が11号棒給となっています。
さらに旧官立大は10号棒給、新8大は9号棒給となっています。
よって上の一覧は、
教授の給与の格付けも参考にしてあります。
筑波大学(※)は旧帝大ではありませんが、
国がそれ相応の扱いをしていたため、
入れてあります。
次に示すデータは、
大学の予算規模です。
科学研究費補助金の大きい大学の順位(百万円)
1.東京:14,675
2.京都:8,012
3.大阪:5,970
4.東北:5,882
5.北海道:4,043
6.九州:4,040
7.名古屋:3,643
8.東京工業:2,852
9.筑波:2,070
10.広島:1,950
11.神戸:1,521
12.岡山:1,321
13.千葉:1,320
14.東京医科歯科:1,319
15.慶応義塾:1,306
16.熊本:1,028
17.新潟:1,001
18.金沢:967
19.徳島:955
20.早稲田:831
21.東京都立:810
22.長崎:794
23.山口:640
24.三重:625
25.静岡:603
26.群馬:572
27.鹿児島:568
28.東京農工:563
29.岐阜:559
30.信州:554
これは大学院を除いた2001年度のデータで、
数字の単位は百万円です。
科学研究費補助金のほとんどは、
理系が研究するために使っており、
文系が使っているのは全体の5%以下です。
この略して科研費と呼ばれるものの審査体制は、
過去、幾多の問題を克服し、
様々な実験を積み重ねて、
今の姿になってきました。
後で出てきますCOEプログラムの審査でも、
参考になっていると考えられます。
それはどんな選考基準かと説明しますと、
従来の学位授与などとは違って、
研究テーマもさることながら、
研究開発の態勢やプロジェクトの運営方法、
学生に対する教育の仕方、
COEとしてのレベルアップの目標など、
大学全体のポテンシャルが問われることになります。
少し長くなったため、
いったんここまでとします。
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