農学系の大学編入講座(仮)

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大学サバイバル戦線の行く先

      2016/05/31

2002年1月17日、

文化省は、

「世界的教育研究拠点の形成のための重点的支援-21世紀COEプログラム」の概要を

発表しました。

「構造改革の方針」の第三項目に盛り込まれた、

「トップ30」のアウトラインになります。

 

概要の発表に当たって名称を変えた理由は、

「第三者評価による競争原理の導入」という目的よりも、

「トップ30」という手段がクローズアップされてしまい、

大学の切り捨てとか大学の格付けといった、

誤解を大学関係者に与えたためです。

 

「21世紀COEプログラム」の主旨とは、

大学の学問水準を向上させるのが本来の狙いです。

そのためには、

国公私立の壁を取り払って、

共通の競争原理を用意しなければなりません。

 

しかも、世界トップレベルの学問水準でとのことで、

学部ではなく、

大学院の博士課程で競い合ってもらおうとの思惑で、

大学が目指すべき一つの方向が、

COEという機能ということになります。

 

次に示すデータは、

2002年度のCOE交付金の順位で、

数字の単位は百万円です。

 

2002年度COE交付金TOP30(百万円)

1.京都:1,958

2.東京:1,853

3.大阪:1,256

4.慶應義塾:931

5.東京工業:751

6.東北:727

7.名古屋:716

8.九州:650

9.北海道:579

10.早稲田:562

11.筑波:505

12.立命館:486

13.奈良先端科学技術大学院:432

14.金沢:308

15.横浜国立:273

16.東京農工:259

17.帯広畜産:246

18.長崎:238

19.東京外国語:237

20.愛媛:231

21.玉川:217

22.静岡県立:217

23.秋田:209

24.神戸:189

25.広島:181

26.東海:179

27.佐賀:179

28.宮崎医科:162

29.名古屋工業:150

30.豊橋技術科学:146

 

COEの対象となるのは、

人文・社会科学から自然科学、学際・複合、新領域に至る、

十分野です。

二年に分けて五分野ずつ申請を受け付け、

一分野につき、十から三十件、

平均二十件前後のテーマを選び出すことしています。

次に示すデータがそれになります。

 

世界的教育研究拠点の形成のための重点的支援(21世紀COEプログラム)

・生命科学 生物学、生体工学、農学、薬学など

・医学系 医学、歯学、看護学、保健学など

・化学・材料科学 化学、金属工学、繊維工学など

・数学・物理学・地球科学 数学、物理学、応用物理学など

・情報・電気・電子 情報科学、電気通信工学など

・機械・土木・建築・そのほかの工学 システム工学、建築工学など

・人文科学 文学・史学、哲学、心理学、教育学、演劇、語学、芸術など

・社会科学 法学、政治学、経済学、経営学、社会学、総合政策など

・学際・複合 環境科学、生活科学、地域研究、エネルギー科学、国際関係など

・新領域・そのほか 上記以外

 

選定に当たっては、

日本学術振興会を中心に、

大学評価・学位授与機構、

日本私立学校振興会・共済事業団、

大学基準協会の協力を得て、

文化省の外に審査委員会を設置します。

各分野の専門家で構成する専門委員会と、

学術分野や産業界の関係者、

学識経験者などで構成する全体会議とで、

第三者による客観的な評価を行います。

農学は、

生命科学の分野の扱いですねw(゜o゜)w

 

それで「21世紀プログラム」が動き出した現在、

私立はさほど影響ありませんでしたが、

国公立大学はトリレンマ(三重苦)の状況に追い込まれました。

 

それは、

教員養成系大学・学部の統合、

独立行政法人化、

そして「トップ30」によるCOE作りと、

国公立大学の存続を危うくする出来事が相次いで起きたからです。

 

文化省の「構造改革の方針」は、

大学の再編・統合と独立法人化の流れを巧みに掬い上げ、

さらに第三者の評価による「トップ30」をうまく組み込んで、

国公立大学の選別淘汰や業界再編を、

一気に推し進めようというものでした。

 

10年以上経った今でも、

依然、国公立大学は、

自分で進路を決めていかなければ生き残れなくなるということで、

その地域の特色を出したり、

どこかとコラボレーションしたり、

いろんな方策を取っています。

 

その一例として、

ある国立大学の理系学部では、

JABEE(ジャビー)の認定を取り入れているところがありました。

JABEEとは、

日本技術者教育認定機構(Japan Accreditation Board for Engineering Education)の、

頭文字を取ったものです。

 

JABEEは1999年11月19日に設立され、

現在、大学などの高等教育機関で実施されている技術者教育プログラムが、

社会の要求水準を満たしているかどうかを公平に評価し、

要求水準を満たしているその教育プログラムを認定する外部機構で、

技術系学協会(学会、協会)と密接に連携しながら、

そのプログラムの審査・認定を行う団体です。

 

JABEEが認定したプログラムを修了すると、

「修習技術者」の資格が習得できます。

修習技術者は、

技術士資格の第一次試験が免除されます。

実務経験を経て第二次試験に合格すれば、

「技術士」の称号が得られます。

「技術士」とは、

科学技術に関する高度な応用力を備えていることを認定する、

国家資格です。

 

そんなメリットを前面に出し、

全国の優秀な学生を囲い込もうとしています。

その結果、予想されることは、

国に認められて科研費やCOE交付金をさらに得られるようになり、

大学も有名になって、

好循環となります。

 

ここまで説明してきたことを踏まえますと、

偏差値やブランドで大学を選択することも構いませんが、

「世界に対して競争力がある大学なのか?」

「ポテンシャルを持ってる大学なのか?」

「実社会とのつながりのある大学なのか?」

そんなことを考えて大学を選択する方が

賢明かもしれませんね。

 

3年次編入や大学院への進学も、

当然、これらが当てはまります。

そして、それらの選択が、

今後の人生を左右する可能性もありますので、

よく考慮しましょう。

 

データで示しました大学は、

名称末尾の「大学」を省略しています。

もしご意見、ご感想あれば、

I’veまでご連絡下さい^^

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